食事での糖質をなるべく減らす「糖質制限食」が本書のテーマ。糖質を減らせば、肉料理や揚げ物、炒め物も好きなだけ食べながら確実に痩せられる。しかも、食べたいだけ食べてOK。また、カロリー計算をする面倒はなく、運動も必要ない。(Kindle版もあります)
あまりにもよいことずくめのダイエット法だが、糖質制限食の体重減少効果にはきちんと医学的な裏づけがあり、健康的な食事法でもある。著者自身が半年で10キロの減量に成功した(66kg→55kg)。
もともと糖質制限食はとても効果の高い糖尿病の治療食であり、著者が、京都・高雄病院で1300人を超える患者に直接指導してきたもの。始めた人のうち8割ほどの人はきちんと実行し、ほぼ全員に治療効果が出ている。
人類の食の歴史を考えてみると、糖質制限食が本来の姿であり、むしろ糖質を過食する現代の食生活が異常なのです。
(p.134)
糖質のほとんどない食事で、人類はおよそ400万年もの間過ごしてきたのです。ゆえにヒトのエネルギー代謝や生理は、糖質の少ない食事に適応するように進化してきました。
(p.135)
穀物、糖質を日常的に食べるようになったのは4000年ほど前のこと。400万年という人類全体の歴史から考えると1000分の1の時間にすぎない、ごく最近の出来事なのです。
(p.141)
主食のない食事、穀物を食べないことはヒトの生理システムにとっては自然なこと。「食事には主食が必要。主食を抜くと行きていけない」という誤った先入観のために、主食抜きに違和感を覚えるのでしょう。
(p.144)
「農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない」
(p.145, 「ヒューマン・ニュートリション 基礎・食事・臨床2004」からの引用)
糖質制限食は健康面にも効果がありますが、だからといって全人類が糖質を制限すると69億もの人口を養えなくなります。穀物の大量生産が始まって人口爆発が起こったことからわかるように、限られた耕地でより多くの人にカロリーを提供するには糖質が効率的なのです。
したがって糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームのリスクがない人、成長期の子どもや若者は厳格な糖質制限食を実践する必要はないでしょう。
(p.160)
はじめに
■第1章 満腹ダイエットの基本的なやり方
カロリー制限から糖質制限へ / 焼酎やウィスキーは飲んでもOK / 糖質制限食10箇条 / 糖質制限食は3タイプから選ぶ / 世界が認めた糖質制限食の効果
■第2章 満腹ダイエットで痩せるメカニズム
「肥満ホルモン」が出ない / カロリーが尿と呼気で排出される / 肝臓でカロリーが消費される
■第3章 満腹ダイエットを賢く実践する
寿司とカレーは御法度 / 砂糖などの甘味料は避ける / 摂って良い人工甘味料、悪い人工甘味料 / 主菜、副菜、汁物、間食の食べ方 / 間食を上手に活かす方法 / ファミレスやコンビニを賢く利用する / 和食、中華、フレンチ、イタリアンの注意点 / 摂って良いアブラ、悪いアブラ / 筆者はどんなものを食べているか
■第4章 糖質制限食の誤解を解く
脳のエネルギー源はブドウ糖だけではない / 生理的なケトン体値の上昇は危険ではない / 脂質はしっかり摂っても健康は害さない / 低GI食よりも糖質制限食が効果大 / 高タンパク質食でも腎機能は低下しない
■第5章 そもそも人類は糖質制限食が基本
ヒトの生理システムは糖質制限食に適応している / 農耕が始まってから糖質中心食に / 白米を食べるようになったのはごく最近 / 血糖値から見た人類の職の3段階 / 砂糖の登場も肥満と健康を害する一因に / ピマ・インディアンの教訓 / 長期的にも安全な糖質制限食 / テーラーメイドのダイエット
■第6章 糖質制限食で健康になる
カロリー制限で糖尿病は良くならない / 糖質制限へのパラダイムシフト / 糖質制限食は糖尿病の画期的治療法 / 高雄病院での糖尿病治療実績 / 食後の高血糖が血管を傷つける / グルコース・スパイクの怖さ / 高糖質弊害「AGE」とは? / 糖質制限食がメタボを解消する
おわりに
巻末資料1 糖質制限食1週間レシピ
巻末資料2 食品糖質量リスト
本誌は最初に「フォークで刺された」と診断した、なぎの木どうぶつ病院の内田正紀院長の元を訪れた。すると内田獣医師から、思わぬ答えが返ってきた。まあ、刺されていないならそれはそれで良いや。
「最初から私は『フォークで刺された』と断定はしていませんよ。皮膚病の可能性も十分あると思っていました。ただオスカーをうちに連れてきた飼い主の友人の話によると、飼い主は『オスカーが耳を掻くのも分かる』と言うほど、行動を把握しているという。そして、その飼い主が『出血の数日前に皮膚に異常はなかった』と言っていると聞いたので、刺された可能性も否定できないと答えたんです。
私の診断が発端で、これほどの騒ぎになってしまい、戸惑っているのも事実です」